ストレスチェック実施者研修

2015/12/06 投稿

ストレスチェック実施者向け研修の講師を担当しました。

平成27年11月24日、沖縄産業保健総合支援センターによるストレスチェック実施者研修が石垣地方合同庁舎3階会議室で開催されました。

 

同センターのメンタルヘルス対策促進員として、八重山地域の実施者、事業者など多くの出席者の方に向けて、今年12月から施行されるストレスチェック制度について以下の内容で説明しました。

 

制度の基本的な考え方

メンタルヘルス不調の未然に防止する一次予防のため、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個々の労働者のストレスを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることを事業者に求めるものです。さらにその中で、ストレスの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。

 

実施にあたっての留意事項

 ① ストレスチェックに関して、労働者に対して受検を義務付けていないのは、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きい等の理由がある労働者にまで受検を強要する必要はないためであり、本来全ての労働者がストレスチェックを受検することが望ましい。

 ② 面接指導は、ストレスチェックの結果、高ストレス者として面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して、医師が面接を行い、メンタルヘルス不調のリスクを評価し、本人に指導を行うとともに、必要に応じて、事業者による適切な措置につなげるためのものであるため、面接指導を受ける必要があると認められた労働者は、できるだけ申出を行い医師による面接指導を受けることが望ましい。

 ③ ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析及びその結果を踏まえた必要な措置は、ストレスの状況を把握し必要に応じて、職場環境の改善を行うことの重要性に留意し、できるだけ実施することが望ましい。

 

取組の手順

 ・ 基本方針の表明・・・事業者は、ストレスチェック制度に関する基本方針を表明する。

 ・ ストレスチェック及び面接指導

 ① 衛生委員会等において、ストレスチェック制度の実施方法等について調査審議を行い、その結果を踏まえ、事業者がその事業場におけるストレスチェック制度の実施方法等を規程として定める。

 ② 事業者は、労働者に対して、医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士(以下「医師等」という。)によるストレスチェックを行う。

 ③ 事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対して、当該ストレスチェックを実施した医師等(以下「実施者」という。)から、その結果を直接本人に通知させる。

 ④ ストレスチェック結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申出があった場合は、事業者は、当該労働者に対して、医師による面接指導を実施する。

 ⑤ 事業者は、面接指導を実施した医師から、就業上の措置に関する意見を聴する。

 ⑥ 事業者は、医師の意見を勘案し、必要に応じて、適切な措置を講じる。

 ・ 集団ごとの集計・分析

 ① 事業者は、実施者に、ストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計・分析させる。

 ② 事業者は、集団ごとの集計・分析の結果を勘案し、必要に応じて、適切な措置を講じる。

 

衛生委員会等において調査審議すべき事項

制度実施にあたり、衛生委員会等で、「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」を付議すべきとされていて、当該事項の調査審議に当たっては、ストレスチェック制度に関する、次に掲げる事項を含めます。また、事業者は、当該調査審議の結果を踏まえ、法令に則った上で、当該事業場におけるストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、これをあらかじめ労働者に対して周知します。

 ① ストレスチェック制度の目的に係る周知方法

・ストレスチェック制度は、労働者自身のストレスへの気付き及びその対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を目的としており、メンタルヘルス不調者の発見を一義的な目的とはしないという趣旨を事業場内で周知する方法。

 ② ストレスチェック制度の実施体制

・ストレスチェックの実施者及びその他の実施事務従事者の選任等ストレスチェック制度の実施体制。実施者が複数いる場合は、共同実施者及び実施代表者を明示すること。この場合において、当該事業場の産業医等が実施者に含まれるときは、当該産業医等を実施代表者とすることが望ましい。

外部機関にストレスチェックの実施の全部を委託する場合は、当該委託契約の中で委託先の実施者、共同実施者及び実施代表者並びにその他の実施事務従事者を明示させること(結果の集計業務等の補助的な業務のみを外部機関に委託する場合にあっては、当該委託契約の中で委託先の実施事務従事者を明示させること)。

 ③ ストレスチェック制度の実施方法

・ ストレスチェックに使用する調査票及びその媒体。

・ 調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び面接指導の対象とする高ストレス者を選定する基準。

・ ストレスチェックの実施頻度、実施時期及び対象者。

・ 面接指導の申出の方法。

・ 面接指導の実施場所等の実施方法。

 ④ ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析の方法

・ 集団ごとの集計・分析の手法。

・ 集団ごとの集計・分析の対象とする集団の規模。

 ⑤ ストレスチェックの受検の有無の情報の取扱い

・ 事業者による労働者のストレスチェックの受検の有無の把握方法。

・ ストレスチェックの受検の勧奨の方法。

 ⑥ ストレスチェック結果の記録の保存方法

・ ストレスチェック結果の記録を保存する実施事務従事者の選任。

・ ストレスチェック結果の記録の保存場所及び保存期間。

・ 実施者及びその他の実施事務従事者以外の者によりストレスチェック結果が閲覧されないためのセキュリティの確保等の情報管理の方法。

 ⑦ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析の結果の利用目的及び利用方法

・ ストレスチェック結果の本人への通知方法。

・ ストレスチェックの実施者による面接指導の申出の勧奨方法。

・ ストレスチェック結果、集団ごとの集計・分析結果及び面接指導結果の共有方法及び共有範囲。

・ ストレスチェック結果を事業者へ提供するに当たっての本人の同意の取得方法。

・ 本人の同意を取得した上で実施者から事業者に提供するストレスチェック結果に関する情報の範囲。

・ 集団ごとの集計・分析結果の活用方法。

 ⑧ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の開示、訂正、追加及び削除の方法

・ 情報の開示等の手続き。

・ 情報の開示等の業務に従事する者による秘密の保持の方法。

 ⑨ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析に関する情報の取扱いに関する苦情の処理方法

・ 苦情の処理窓口を外部機関に設ける場合の取扱い。

⑩ 労働者がストレスチェックを受けないことを選択できること

・ 労働者にストレスチェックを受検する義務はないが、ストレスチェック制度を効果的なものとするためにも、全ての労働者がストレスチェックを受検することが望ましいという制度の趣旨を事業場内で周知する方法。

 ⑪ 労働者に対する不利益な取扱いの防止

・ ストレスチェック制度に係る労働者に対する不利益な取扱いとして禁止される行為を事業場内で周知する方法。

 

※ストレスチェックを義務づける改正労働安全衛生法は、衛生委員会が制度を主導する役割を果たすことを求めています。衛生委員会活動があまり活発でない事業所において、衛生委員会を活性化するための方策が求められます。

 

制度の導入や規程の作成にあたっては、産業保健総合支援センターに申し込むことで、メンタルヘルス対策促進員の支援を無料で受けることもできます。